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2018.10.11 Thu

#Kansai

関西古着屋ミーティング2018今年の上半期を総括。下半期、そしてこれからの古着はいったいどうなる?

関西古着屋ミーティング2018
今年の上半期を総括。下半期、そしてこれからの古着はいったいどうなる?

#アメリカ村#インタビュー#古着#堀江

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それぞれの提案するスタイルやアイテムは違えど、大阪の古着シーンを牽引する若き30代のオーナー3人。今回はプライベートでも親交を深め、同じ年の彼らにお集まりいただき、2018年上半期の動向や下半期の予測、果てはこれからのことまで、大いに放談してもらいました。

 


 

 

 

平賀拓郎さん

11年の長きにわたって『ピグスティ』で勤めた後、16年末に自身の店「エピック」を北堀江ににオープン。アメリカ古着やBMX、スケボーといったストリートカルチャーを軸に、フレッシュなアイテムを提案する。

Instagram @epicvintageandoldbmx

 

 

 

 

小路貴啓さん

今はなき殿堂店『スリフティ』で研鑽を積み、閉店後に自身のショップ『グリズリー』を出店。去る8月にはアメ村2号店をオープン。堀江の本店や京都店など、現在では6店舗の系列店をまとめ上げる。

Instagram @grizzlyantiques

 

 

 

 

松田龍海さん

古着屋の経験がほとんどないまま05年、寺田町に『チャッピー』をオープンし、15年にはアメ村に移転。レディース店『キャリコ』や東京·高円寺の『メチャ』に加え、今年10月はじめには東京·渋谷に新店『フラット』をオープン。

Instagram @chappie_furugiya

 


 

 

オーバーサイズの人気もひと段落?

 

 

ー上半期の古着シーンを振り返ってみてどうでしたか?

 

松田 ウチの場合は、今年はハワイアンシャツが一番売れたかな。

 

小路 去年からジワジワと火が付きはじめて、今年になって爆発したって感じやもんね。こんなにハワイアンが注目されたん久しぶりやんな。

 

平賀 僕は好きじゃないし店内のスペース的に難しくてスルーしてた。ヴィンテージもピックしたん?

 

松田 見つけたら仕入れたけど、狙ってたわけじゃないな。でもレギュラーもヴィンテージもどっちも好調やった。オーバーサイズで提案してたけど、夏終わりにかけてサイズダウンしていった印象かな。

 

小路 確かにそうかもね。ほど良くゆったりしたサイズに変わってきてるのかも。

 

 

 

―その他、予測に反して好調だったアイテムはありましたか?

 

松田 ウチはほとんどが一点モノやから参考にならんかもやけど、誰やねんみたい家族写真がプリントされたTシャツは好評やったね(笑)。アメリカで見つけた時にオモロいなと思ってプッシュしたけど、あんなに売れると思わんかった。

 

平賀 チャッピーのお客さんは、そういうの好きやもんな。

 

小路 全体的にちょっとダサいデザインの方が人気やった。それとパステルカラーやアースカラーのアイテムも良く売れてる。ちょっと前なら黒か白がダントツ人気やったけど。

 

松田 『エピック』は(上半期)どうやった?

 

平賀 ん~、いいイメージないね(笑)。

 

小路 めっちゃネガティブやん(笑)。

 

平賀 自分の狙い通りの売り方、売れ方じゃなかったな。個人的には、バンTとか’90年代から’00年代初期のスケーターっぽいアイテムを押してたけど、思ったよりドカンと来なかった。

 

松田 確かにバンTの人気は落ち着いてきた気はする。探してる人は常に探してるけどね。

 

 

 

 

AWシーズンのそれぞれの思惑

 

―悲喜こもごもといった感じですね。上半期の流れを踏まえて、下半期にプッシュしたいアイテムはありますか?

 

平賀 さっき話した’90s~’00sのスケートライクなアイテムをより濃くしていこうと思っています。例えば、ナイロン素材のアイテム。コーチJKTやナイロンパンツに、靴下をチラッと覗かせてスケシューを履くみたいな感じ。イメージ的に東海岸のスケーターっぽいスタイルが好きで。。

 

 

 

RECOMMEND by EPIC

『エピック』は’90年代のスケーターを彷彿とするナイロンアイテムやゴツめのスニーカーをピックアップ。一枚使いはもちろん、パーカーやシャツとのレイヤードも楽しめるナイロンプルオーバー。「靴下をチラッと覗かせたい」と平賀さんが話すミリタリーのナイロンパンツは、ズドンとしたシルエットと裾のリブがポイントに。「ダッドシューズとは距離を置きたいけど、足元にボリューム持たせるのが気分」と、ナイキのモナークも気になる。

 

 

 

小路 異素材ミックスの流れは引き続きそう。ウチもナイロンJKTやコットンスウェードシャツをプッシュしていきたいな。

 

 

RECOMMEND by Grizzly

『グリズリー』からはアメ村と本店からそれぞれレコメンド。客層の若いアメ村店にと選んだコットンスウェードのシャツは、「ラギッドな表情は一枚でもサマになります。コート感覚でガバッと羽織ってほしいですね」。一方のフィラのナイロンJKTは、ウエストのドローコードでシルエットに変化を加えられる。「ユニセックスに展開したいアイテム。フィラやディアドラといった、懐かしいスポーツブランドを押していきたい」と小路さん。

 

 

平賀 (<FILA>のナイロンジャケットを手にとって)このナイロンJKT、形変わってるな。

 

小路 そうそう、ウエストにドローコードが付いてるねん。こんな感じでフォルム変えられるブルゾンが気分かな。これは本店で展開しようと思ってる。今のトレンドの’90sって僕らが学生やった頃やん。これ流行ったなとか思い出しながら買い付けたりせえへん?

 

松田 それはあるね。この<クイックシルバー>のフーディーJKTもヤンキーの先輩が来てたイメージ(笑)

 

小路 こんな感じの着てたな(笑)。<ステューシー>とか。

 

松田 僕ら世代のファッショニスタはヤンキーの先輩やった。バイイングしてて前までは見向きもしてなかったけど、突然カッコよく見えるアイテムもあるよな?

 

平賀 わかるわ〜。

 

 

RECOMMEND byCHAPPIE

一点モノに注力する『チャッピー』はらしさ全開のアイテムを推薦。用途不明なビッグサイズのポケットを備えた迷彩ベスト。「Tシャツやパーカー、はたまたコートの上から羽織ったり、自由に使いこなしてほしいですね」。ノスタルジックなオーラを放つ<クイックシルバー>のフーデッドJKTは、悪そうな雰囲気がひと際クールだ。3枚目の総柄シャツは<ポールスミス>ならではの派手すぎないカラーリングとデザインが秀逸。

 

 

松田 この<ポールスミス>の総柄シャツは、ハワイアンの流れを受けて。

 

平賀 オールドの<ポールスミス>って流行ってるん? なんかチラッと噂で聞いたんやけど。

 

松田 そうなん? 全然意識せずにピックしたわ。ええ柄やなと思って、タグみたらたまたま<ポールスミス>やった。

 

平賀 次はフレアパンツとか、’70sの襟が大きいジャケットが流行りそうって聞いてんけど、ドンズバの’70年代が流行りだしたら怖いわ。

 

小路 Sサイズばっかり求められるようになったら、買い付けは正直厳しいね。今はオーバーサイズが主流な分、急激にスタイルが変わることはないやろうけど、海外のアイテムはどれもデカいから本間に見つからんもんね。

 

平賀 今はルックス重視でピックできるからええよね。

 

 

 

 

古着屋のこれからは若手の力が重要

 

ー以前、小路さんが「販売員の力が重要」とおっしゃっていましたが、みなさんもそう思われますか? お三方のショップはキャラクターの濃いスタッフさんが多いように思えます。

 

小路 古着はどんどん枯渇化していくやろうから、スタッフの力ってすごく重要じゃない?  去年買い付けたアイテムやなんてことないレギュラーでも、なぜこれがいいのかって思わせる説得力が大切というか。

 

松田 それは本間にそうやんね。さっきの家族写真のTシャツとかもスタッフがちゃんとスタイルに落とし込んでくれるから、お客さんが買ってくれるんやと思う。それこそピックした時に想像せんかったコーディネートを考えてくれたり、期待してますね。

 

平賀 お客さんにいいなと思ってもらえる説得力はもちろん、キャッチーさも重要やと思うねん。インスタグラマーとは違うねんけど、会い行きたくなる人ってすごく大切やなって。お店に足を運んでくれたら自ずとアイテムにも目が向くし、これからの古着屋はやっぱり人がキーやと思う。オープンしたての頃は、ヴィンテージの一つや二つはないとあかんと思ってたけど、レギュラーでもいいアイテムが多いし、スタッフがしっかりと魅力を伝えてくれるから少しだけ肩の荷が下りた。

 

小路 年代が古ければ売れる、みたいな時代じゃなくなってきた分、バイヤーと販売員の提案力が試されるようになってきたんかなって思う。

 

松田 確かに人は重要やな。ウチは販売とバイイングを兼ねてるスタッフが多いけど、内輪で盛り上がってからお客さんに伝わることが多いもん。

 

平賀 チャッピーのスタッフは、お客さんに愛されてるよな。

 

松田 ホンマに? 嬉しいな。

 

小路 ウチのスタッフの最年少が16歳。

 

平賀 若いな~、若手の勢いがすごいね。

 

 

 

小路 ウンチクのいらないアイテムが売れるようになってきたのが大きいんやろうね。お客さんにとっても同世代の方が話しやすかったりするやろうし。知識云々じゃなくなってきてる。

 

平賀 ホンマにそう。だからこそのキャッチーさが重要やと思うねん。一時を思えば、高校生のお客さんも多くなったよね?

 

松田 若いお客さんが多くなったね。10代もよく来てくれる。

 

小路 こないだ久しぶりにアメ村店で接客してんけど、めっちゃ新鮮やった。

 

松田 オーナーがヘルプスタッフ。

 

小路 そうそう(笑)。本店に比べてアメ村店って客層が若いねんけど、楽しかった。「これいいっすね」って話しかけてくれる感じとか、年代やタグに関係なく気に入ったから買う、みたいなのが気持ちよかった。十数年とヴィンテージを話し続けてたから、もうウンチクはお腹いっぱい。

 

平賀 高1、2の子らばっかりが来るみたいな日があるしね。ウチは高校生のスケーターも頻繁に来てくれる。それぞれの店で客層は違うと思うけど、街全体が若返ってる印象やね。

 

 

 

―確かにミナミを歩けば、10代や20代前半の活気に沸いてますね。関西で注目しているショップはありますか?

 

松田 『ジャバー』はやっぱりすごいな。ジャバープライスって言葉もキャッチーやし。

 

平賀 確かにそうやな。ジャバー出身者で独立してる子達の勢いも相当やもん。『ピーカン』や『サルベージ』とか人柄にしろ、セレクトにしろ、オモロい。

 

小路 古着屋だけじゃなく、ショップってくくりで言うたら『イマジン』。個人のセレクトショップで数百人が並ぶってすごくない?

 

松田 今までなかったもんね、勢力図をガラッと変えたというか。

 

平賀 今の子らは古着屋もセレクトショップも同じ服屋と思って見てくれるよね。

 

小路 それはホンマにありがたい。セレクトショップも古着を置いてたりするし、どんどん古着の間口が広がっていってほしいね。

 

平賀 セレクトショップが古着置くのも結構ポジティブに捉えてるよな。古着に興味持ってもらえるきっかけにもなるし。

 

 

―セレクトショップが古着を展開することに好意的だったのは意外でした。最後の質問ですが、皆さんは古着屋の未来は明るいと思いますか?

 

小路 ん~、僕は飲食店がしたい。

 

一同笑い

 

松田 社長ぉ~!(笑)。めっちゃぶっちゃけるやん。

 

小路 真面目に言うと、年々アイテムが減少するのは抗えない事実なので、バイイングは難しくなるやろうなって思います。ただそれに伴って、許される範囲も増えていくんかなって。さっき話したみたいに小さいサイズが流行りだしたら、リサイズしようと思ってて。リメイクしてることは、ちゃんとお客さんにも伝えた上でね。

 

平賀 買い付けしてる時に、デザインはいいけどサイズで断念することも多いもんね。今の古着やストリートブームは、長くても来年いっぱいかなと思っていて、個人的にはそれ以降が正念場かな。

 

松田 え、なにこのバッドエンドみたいな流れやん(笑)。古着屋で買い物するのがイケてるみたいな流行は落ち着くと思うけど、僕は古着屋はまだまだ大丈夫やと思うな。スポットライトの当て方次第で売れるアイテムは、まだまだ眠ってるはず。

 

平賀 関西の人たちはサラ着と同じように、抵抗感なく古着を取り入れるしね。編集力の高さに支えられる気がする。僕ら世代がもっと盛り上げていかんとね。

 

 

―年々ヴィンテージが確保しづらく中、バイヤーと販売員の両輪で上質なアイテムを届けてくれるお三方。彼らが引っ張り続けてくれる関西の古着シーンは明るいのだと感じました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

 

 

Text / Shun Koda(Tryout)

Photo / Mami Nakashima(Tryout)

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